用語目次:揚水量
収録水道用語解説
揚水量
「揚水量(ようすいりょう)」は、水や他の流体をポンプなどの機械を使用して上へ移動させる量を指します。水道や農業、工業などさまざまな用途で使用されるポンプや揚水装置によって、液体を低い場所から高い場所へ移動させることができます。揚水量は、時間あたりに移動される液体の容積を表す単位として表されます(通常はリットルや立方メートルなど)。揚水量は、次のような要因に影響を受けることがあります。
●ポンプの能力
使用するポンプや揚水装置の性能や仕様によって一度に移動できる液体の量が決まります。ポンプのタイプや出力が揚水量に影響します。
●揚程(揚げる高さ)
液体を上へ持ち上げる高さ(揚程)が増えるほど、揚水量が減少する傾向があります。液体を高い場所に移動させるためには、より多くのエネルギーが必要です。
●流体の性質
揚水する液体の性質(水や油、化学薬品など)や温度によっても揚水量に影響があります。特定の液体に適したポンプや設備が必要です。
●時間
揚水量は、一定の時間内に移動される液体の量として考えることができます。時間の経過によって移動する液体の量が増減します。
ポンプや揚水装置を選定する際には、必要な揚水量や揚程、液体の性質などを考慮して適切な機器を選ぶことが重要です。特定の用途や状況に合わせて適切な揚水装置を設置することで効率的な液体の移動を実現できます。
的確な揚水量についての考え方
的確な揚水量についての考え方は、必要な水量を無駄なく効率的に確保することを目的とし、水源の能力や用途に応じて適正な揚水量を設定することが基本となる。揚水量が不足していれば、給水先での利用に支障をきたすだけでなく、機器の過負荷や運転回数の増加による劣化を招くおそれがある。一方で過剰な揚水量は、無駄なエネルギー消費やポンプの空運転、圧力過多による設備の破損などを引き起こす可能性があるため、実際の使用状況に応じて適正な水量を見極めることが重要である。このためには、建物の規模や用途、水の使用パターン、使用時間帯、最大需要時の水量などを詳細に調査し、それらを基にして揚水ポンプの能力や運転条件を計画する必要がある。特に集合住宅や商業施設では、一時的に水の使用が集中する時間帯を想定したうえで、瞬間的なピーク需要にも対応できるよう揚水能力に余裕を持たせると同時に、無駄な揚水を避けるためにインバータ制御などを用いて運転を最適化する工夫も求められる。また、揚水先となる受水槽や高架水槽の容量や配置も揚水量に密接に関わるため、それらと一体での計画が必要であり、加えて水質の変化やポンプの経年劣化などを考慮し保守点検と定期的な見直しを行うことも重要である。さらに、非常時や断水時にも対応できるよう、必要最小限の揚水量と緊急用設備の整備も同時に検討することで安定した水供給を維持できる。したがって、的確な揚水量とは単なる数値の設定ではなく水利用の実態と設備全体のバランスを考慮したうえで運用と保守を含めて合理的に導き出すべきものである。